締付けトルクから、ボルトの軸力を概算する
技術計算(試験公開)
図の条件を確認し、入力例と結果を順番に見ていきましょう。数値を変更する操作は計算画面で行います。
1. 図で、何を調べるか確認する
ボルトと締め付けられる部品を断面で見ています。締付けでボルトに引張りが生じます。
Tは締付けトルク、dは呼び径です。Kは接触・潤滑などをまとめたトルク係数で、摩擦係数そのものではありません。
- 締付けトルク T
- 20 N·m
- トルク係数 K(入力例)
- 0.2
- ねじの呼び径 d
- 10 mm
- ねじ部の引張応力面積 As(別途指定)
- 58 mm²
橙のFは軸方向の力です。応力に使うAsは、呼び径の丸棒面積とは違うねじ部の有効断面積です。
- F · 推定締付け軸力 F
- 10,000 N
- 軸力/応力面積の公称引張応力
- 172.414 MPa
A cutaway shows the bolt and clamped parts. Tightening puts the bolt in tension.
T is tightening torque and d nominal diameter. Nut factor K accounts for contact and lubrication; it is not simply friction coefficient.
- Tightening torque T
- 20 N·m
- Nut factor K (example)
- 0.2
- Nominal thread diameter d
- 10 mm
- Thread tensile stress area As (specified separately)
- 58 mm²
Orange F is axial force. Thread stress uses tensile area As, distinct from the full nominal shank area.
- F · Estimated tightening preload F
- 10,000 N
- Nominal tensile stress F/As
- 172.414 MPa
青は入力、赤橙は結果です。図は以下の固定の入力例を説明する模式図です。寸法や変形の比率を実物どおりに再現したものではありません。2. 入力する値の例
締付けトルク T何を入力する?軸を回そうとする作用です。力と、軸から力の作用線までの垂直距離の積で考えます。 | 20 N·m |
|---|
トルク係数 K(入力例)何を入力する?締付けトルクTと軸力FをT=KFdで結ぶ経験的な無次元係数です。ねじ面・座面・潤滑などの影響をまとめた値で、摩擦係数μと同じではありません。 初期値0.2は入力例です。潤滑・表面処理・再使用など、対象締結と同じ条件のトルク/軸力試験値やメーカー指定値を使います。係数を小さくすると同じトルクでも軸力が大きくなるため、締付けトルクの許容値をこの例から決めません。 数値は接触・潤滑・温度などの条件に合わせて決めます。この表の初期値は入力例です。 | 0.2 |
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ねじの呼び径 d何を入力する?図の記号が示す部分の寸法を入力します。半径と直径、内径と外径、部材全長と支持間隔を区別します。 | 10 mm |
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ねじ部の引張応力面積 As(別途指定)何を入力する?ねじ部の引張りに用いる有効断面積です。呼び径から求めた単純な円の面積ではありません。採用品のねじ規格・ピッチに合う値を使います。 | 58 mm² |
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固定の説明例です。係数・物性値・比較基準は推奨条件ではありません。自分の条件は計算画面で入力します。
3. この例の計算結果
- 推定締付け軸力 F
- 10,000 N
- 軸力/応力面積の公称引張応力
- 172.414 MPa
軸力はボルトを軸方向に引っ張る力です。トルク係数Kはねじ面の摩擦係数そのものではありません。例のKを無条件に流用せず、接触・潤滑条件から決めます。
4. どの式で求めている?
T ≈ KFd, F ≈ T/(Kd), σnom = F/As
表の単位のまま式へ代入できるとは限りません。計算画面では、選んだ単位を内部の基準単位へ換算して計算しています。
この計算で扱う条件・含まれないもの
トルク係数Kによる概算です。Kは材質・表面処理・潤滑・座面・再使用で変わり、入力例を規定値として使わないでください。Asは実際のねじ規格・ピッチの引張応力面積を指定します。公称応力は締付け時のねじりとの合成応力ではありません。軸力のばらつき、外力分担、緩み、座面圧、疲労、ねじ山の破壊、耐力・許容トルクは判定しません。
「この入力例を計算で試す」は例の数値を読み込みます。「自分の条件を入力する」は計算画面を通常どおり開きます。